つぶしてしまおう「補助73号線」再び。

補助73号線計画1.jpg
 以前、豊島区郷土資料館前で工事がストップしている、「補助73号線」について記事Click!にしたことがある。人口が50年後には1億人を割りこみ、若者のクルマ離れも進んで台数が減りつづけているのに、新たな道路を造ろうという時代錯誤な土建的発想の行政が、いまだ放棄しないでいる計画だ。国ではようやく滅びつつある、利権が見こめて甘い汁をたっぷり吸える腐臭ふんぷんたる族議員や族役人が、時代遅れの東京都にはまだ残っているのだろうか? しかも、排気塔から排ガスをまき散らす、山手通り(環6)の二重化=地下高速道路が完成したばかりだ。
 この「補助73号線」について、気になる光景を少し前にLawさんからご指摘いただいていた。わたしも、目白通りにつながる不忍通りから、早稲田の甘泉園公園にかけて目白台の“既成事実”づくりを、ずいぶん前から目の当たりにしているので、非常に気になっているのだ。先日、ピーコックストア前にあった大正期からの古い交番Click!がなくなり、アスファルトで塗り固められている。目白通りをはさんで向かいにある金物屋さんも移転して、12月中には解体されることになっている。金物屋さんの西隣りは、少し前からすでに空き地の状態がつづいていた。
 下落合側を観察すると、ピーコックストアからテアトルアカデミー、そして旧メーヤー館Click!跡(日本聖書神学校)の前までの大幅なセットバックが完了し、駐車場や空き地状態となっている。もう、すでにお気づきだろう。西池袋1丁目でストップしている「補助73号線」の道幅と、いま目白3丁目から下落合3丁目にかけて「確保」されている空き地とは、東西の幅が近似しているのだ。東京都は、西池袋から新宿へと抜ける眠っていた(もはや時代遅れな)「補助73号線」事業を、そろそろ積極的に推進しようとしているのではないか。道路建設は、なにも西池袋から順次南へ伸びてくるわけではない。目白台のケーススタディを挙げたのは、建設できる部分から道路を敷設してしまい、既成事実を積み重ねて住民を“サンドイッチ”にしては立ち退きを迫っていく常套手段からだ。東京都は、なにも土地取得を都として公に進めるとは限らない。民間の不動産屋へ土地取得を委任し、のち一気に都有地として買い上げていく。だからこそ、そこに利権をめぐる腐敗構造が発生しやすいのだ。
ピーコック横.JPG
目白台ケーススタディ1.JPG 目白台ケーススタディ2.JPG
 目白台の緑が多い閑静な住宅街に、明治通り(環5)以外の大きな幹線道路ができるなど、30年前には誰も信じなかっただろう。ましてや、戦前から計画されていた「環4」事業計画が、このような時代状況で見直しもされずに生きていたとは、さらに信じられなかったのではないか。ところが、早稲田の甘泉園公園の東側に突然大きな道路が出現し、都は早大グラウンド坂のバス路線まで早々に変更してしまった。この道路は、もちろん北側から目白通りまできている不忍通りと連結するためであり、由緒ある小布施坂周辺の緑が多く残る目白台(大岡家下屋敷跡Click!)の閑静な住宅街が、大通りの中心街となってしまうのももはや時間の問題のように思える。
 ちょうど、目白文化村Click!が戦後に山手通り(環6)と十三間通り(新目白通り)で十字に分断され、高層マンションが林立する幹線道路沿いの街と化しつつある現状と同じだ。道路は、なにも順序よく造られていくわけではない。南北で道路建設を進め、買収が難しそうな計画地域をサンドイッチにし、やがて有無を言わせず用地買収を迫る。現在、南の甘泉園と北の不忍通りとに挟まれた目白台は、すでに櫛の歯が抜けるように家々が立ち退き、計画上の斜面敷地は駐車場や空地が拡がる荒涼とした風景が拡がっている。この計画では、目白通り沿いの児童遊園も潰すつもりだろう。
補助73号線計画2.jpg 補助73号線計画3.jpg
 まず、目白通り沿いで計画敷地を確保し(既成事実づくり)、豊島区の目白3丁目から上屋敷Click!周辺の住宅街=旧・雑司ヶ谷6~7丁目(西池袋)にかけてお住まいのみなさんを、サンドイッチにしようとしているのではないか? さっそく、移転される金物屋さんへ取材にうかがってみると、かつて配られたアンケートなどから道路計画はご存じだったが、道路計画の進捗についてはなにもご存じない様子だった。でも、その話題を避けるような態度をされていたのが、やや気がかりなところ。
 前の記事でも書いたけれど、ここに幅40m近い道路が造られてしまえば、静かな住宅街としての、そして豊かな歴史がやどる街並みとしての旧雑司ヶ谷上屋敷も目白町も、下落合も戸塚町(現・高田馬場3丁目)も“おしまい”だ。巨大な道路ができれば、街のイメージが損なわれるばかりでなく、地域の一体感が失われ、コミュニティとしての人々の交流や地場のアイデンティティが薄れつづけ、人の流れが断ち切られてしまい商業的にも大きなダメージを受けるのは、さんざん下町の事例で経験済みなのだ。ゆっくり静かに散策を楽しみたいとも、のんびりお茶でも飲みながらすごしてみたいとも、ショッピングを楽しみたいとも、また住んでみたいとも思う人々は激減するだろう。住みにくさをおぼえ環境の悪化を感じた人たちは、より緑が多く閑静で暮らしやすい“ミーム”Click!が色濃く残る地域へ次々と移転し、下町Click!“町殺し”Click!(小林信彦の用語)と同様のことが、目白・下落合界隈でも起きるだろう。巨大な道路は、人々を素通りさせこそすれ、決してその地域に人々を集合させる“街づくり”につながらないことは、下町の多くの事例が物語っている。
補助73号線計画4.jpg 補助73号線計画5.jpg
 ただの妄想や杞憂であってほしいものだが、このところのピーコックストアや聖書学校周辺の様子は、あまりに危機的でリアリティがありすぎる。この文章が「オオカミ少年」記事であってほしいと願うばかりだが、東京都が本気で計画を強引に推し進めようとするなら、広島・鞆の浦の“歴史リソース”および“景観”をテーマとする地裁判決後の今日、少なくとも下落合では人命やグリーンベルトをめぐる最高裁判決Click!も間近な「タヌキの森」どころではない、目白崖線に通うもっとも古い由緒ある鎌倉期からの坂道・七曲坂Click!を、鼠山Click!道筋とともに丸ごと消滅させようというのだから、ありとあらゆる手段を尽くした猛烈な反対運動が東京都を待ちうけることになるにちがいない。

■写真上:道路の東側拡幅が想定できる、旧メーヤー館前から目白通りを望む。
■写真中上は、目白通りのピーコックストアと補助73号線計画の想定予定コース。は、目白台の小布施坂周辺の「環状4号線」計画予定地の現状。
■写真中下は、閉店し12月末までに解体が予定されている金物店(正面)を元交番のあった位置から。は、金物店に隣接して少し前から空き地状態がつづく敷地。
■写真下は、北側から下落合方面を見る。は、セットバックを終えている日本聖書神学校。

この記事へのコメント

  • ナカムラ

    やけに空き地がと思っていましたが、そういうことですか・・・。
    2009年12月11日 10:16
  • ChinchikoPapa

    匿名性に絡むネットの課題として、情報やリソースをオープンにして相互活用が大前提の、「経路」の各中継サーバが“ボランティア”で運営されているインターネット上において、mixiをはじめとする情報を閉じて活用させないSNSの存在っていったいなに?・・・という本質的なテーマもありました。nice!をありがとうございました。>ムルタロウさん
    2009年12月11日 12:41
  • ChinchikoPapa

    90年代のドン・チェリーは、ほとんど聴いてきていませんが、これほど「バップ」してるとは・・・。nice!をありがとうございました。>xml_xslさん
    2009年12月11日 12:48
  • ChinchikoPapa

    わたしはキリスト教徒ではありませんが、この時期はウキウキとしてツリーを眺めてしまいます。nice!をありがとうございました。>emiさん(今造ROWINGTEAMさん)
    2009年12月11日 12:50
  • ChinchikoPapa

    ハケの道の、秋の風情は美しいでしょうね。また、行きたくなってしまいました。
    nice!をありがとうございました。>kurakichiさん
    2009年12月11日 12:52
  • ChinchikoPapa

    山陰のお話を読ませていただいて、そういえば11月には東京の出雲神の社はもぬけのカラだったんだ・・・と、改めて気づきました。誰か七五三のために、神々は留守番を置いてくれているのでしょうか。^^; nice!をありがとうございました。
    2009年12月11日 12:56
  • ChinchikoPapa

    ナカムラさん、コメントとnice!をありがとうございます。
    単なる空想や妄想であればいいのですが、風景があまりに急激に変わっているので、かなり気になりますね。
    2009年12月11日 12:58
  • ChinchikoPapa

    ぼんぼちぼちぼちさん、コメントとnice!をありがとうございます。
    ようこそ、目白・落合地域へおいでくださいました。^^ 散策をされるにはちょっと寒いかもしれませんが、途中で温かいコーヒーでも飲まれながら、またぜひお越しください。
    2009年12月11日 13:02
  • ChinchikoPapa

    坂本龍馬像は、さんざんですね。こちらでは、谷へ通う石段に据えられたウサギの首がヘシ折られた“事件”がありました。nice!をありがとうございました。>りぼんさん
    2009年12月11日 13:09
  • sig

    こんにちは。
    まったくですね。太い道路は完全に街区を分離してしまいますから、
    それまでのつながりは分断されてしまいますね。
    2009年12月11日 14:02
  • ChinchikoPapa

    sigさん、コメントとnice!をありがとうございます。
    そうなんですね。しかも、下町でも象徴的だったのは、だんだん“サンドイッチ”ではないですが「圧力」をかけられて追いつめられてくると、住民たちがどんどん視野狭窄になってしまい街の将来などどうでもよく、ほんの目先の利益しか見えなくなってしまう・・・ということなんですね。
    街やコミュニティや環境や暮らし、地元愛・・・といった、それまで当たり前に存在していた意識やモノが、もうどうでもよくなってしまうという現象が見られました。そこがまた、当局が企図する「分断」策だとも思うんです。道路は別に家々や環境を壊すだけでなく、地域のコミュニティや人間関係まで「分断」していきますね。
    2009年12月11日 22:37
  • ChinchikoPapa

    わたしは一時期、チェロが弾けるようになりたいと無性に思ったことがあります。
    nice!をありがとうございました。>sungenさん
    2009年12月11日 22:45
  • ChinchikoPapa

    政治家とは別に、行政者が役人組織の中へ逃げ込まないよう、案件の企画から稟議、認可、実施まで関わった担当者(責任者)を、「匿名」ではなく部局の実名で公表してほしいものです。nice!をありがとうございました。>トメサンさん
    2009年12月11日 22:52
  • ChinchikoPapa

    先年、博物館や民族資料館に置かれて展示されているものではなく、使用中の大八車を東京の外れで初めて目にしました。nice!をありがとうございました。>とらさん
    2009年12月11日 22:57
  • ChinchikoPapa

    椿山荘の庭園を歩きますと、昔の谷戸やバッケの姿がそのまま残っていてホッとします。実は、椿山荘の西端から広大な隣家の原生林の中に横たわる、ひっそりとした池(沼)を覗き見すると、もっとホッとしますね。w nice!をありがとうございました。>No14Ruggermanさん
    2009年12月11日 23:57
  • ChinchikoPapa

    わたしも学生時代に何度か経験がありますが、新しい部屋を契約するとウキウキしますね。近所をウロウロ、あてどなく散歩したり・・・。それが、いまの落合地域であるわけなのですが。nice!をありがとうございました。>ひまわりさん
    2009年12月12日 00:00
  • 下落合に魅せられ

    最近息子が下落合の中学校近くにアパートを借り、下落合界隈の自然に魅せられたものです。この情報を聴いて愕然としました。住民からすれば便利になるほうがよいのかも知れませんが、ブログを読むとどれだけの人がこの地にわたしも含め魅力を感じているか、知ってほしいです。壊されてからでは遅いのです。どうにかならないものでしょうか?
    2009年12月12日 00:03
  • No14Ruggerman

    下落合ことぶき館の建物は以前は区立図書館でした。蔵書は多くなかったのですがマンガ本がけっこう置かれていたので子供の頃の遊び場のひとつでした。楳図かずおの初期の恐怖少女マンガシリーズ「ねこ目の少女」や「肉面」などは怖いもの見たさで繰り返し読んだので、いまだに忘れられません。
    この想い出深き建物も飲み込んでしまう計画は絶対に阻止したいものです!
    2009年12月12日 01:26
  • ChinchikoPapa

    子どもを誘拐してゲリラ兵士に育てるというのは、ちょっと想像を絶する世界です。会社にとどくUnicefのパンフでも、ウガンダの子どもたちのことが書かれていた憶えがありますね。nice!をありがとうございました。>shinさん
    2009年12月12日 10:27
  • ChinchikoPapa

    下落合に魅せられさん、コメントをありがとうございます。
    わたし自身もそうですが、おそらく下落合にお住まいのみなさんは、もうすでに十分すぎるほど便利だと思います。北を目白通り、南を新目白通り、東を明治通りと山手線、西を山手通り(地下高速含む)、そして駅も山手線の目白駅と高田馬場駅(地下鉄含む)、西武新宿線の下落合駅の3駅利用で、これに東京各地へと通じるバス路線が走ってるわけですから、これから人口が減りつづけて利用客が減少しつづける現実を踏まえれば、これ以上道路は必要ないですね。
    下町のあまたのケーススタディが示すように、ほんとうに一度壊されてしまったら、自然でもコミュニティでも、街並みでも地域イメージでも取り返しがつかないんですね。
    2009年12月12日 10:55
  • ChinchikoPapa

    No14Ruggermanさん、コメントをありがとうございます。
    ことぶき館は、図書館だったのですね。わたしが気がついたときは、すでに福祉施設になっていました。マンガが置かれていれば、近所の子どもたちがたくさん集まったでしょうね。いま、氷川明神の踏み切り向こうにある区立中央図書館に、子ども図書館が設置されていますので、それがことぶき館にあった子ども向け図書室の後裔なのかもしれませんね。
    楳図かずお作品では、「ヘビ女」シリーズが面白かったです。^^;
    2009年12月12日 11:14
  • ChinchikoPapa

    上野の東照宮から、樹間に見える寛永寺の五重塔の風情が好きです。
    nice!をありがとうございました。>takemoviesさん
    2009年12月12日 11:17
  • ももなーお

    え~~~~っ、まだそんな変な計画があったなんて驚きですね。papaさんがおっしゃるように、要するにすべて日本の行政は「土木」なんですね。時代錯誤も甚だしいし、道路そのものがもう必要ないでしょう?、という感じですよね。

    しかし本気なんですかね? 住民の環境よりも排ガスをまき散らす利便性の方がいいっていう行政の感覚は異常としか言いようがないし、そうなったらもう完全に下落合も終わりですね。そうならないようにしてほしい(いや、しないようにしなくてはいけないと言った方が正しい)し、道路行政ってこんなにも現実離れしているものなんですね。
    2009年12月12日 11:20
  • ChinchikoPapa

    ももなーおさん、コメントをありがとうございます。
    いま東京で人を集めたり、人気が高く住んでみたいと口の端にのぼる地域は、商業的に巨大な繁華街を除き、きちんと街のアイデンティティを打ち出し、風情をたいせつにし、できるだけ緑を復活あるいは維持して暮らしやすさや散策に快適な環境を保持しようとつとめているところが多いのに気づきます。少なくともそのような街には、大きな道路が縦横に貫通したり、高層ビルが建ち並んでたりはしませんね。また、夜が迫るとともに路上を歩く人々が激減してしまうこともないし、夜間には人口が半減してしまう・・・なんてこともないですよね。
    街を壊せば、自分で自分のクビを締めているに等しく、東京オリンピック前後の1960~70年代の下町には、そのようなケーススタディがあまた存在しています。人間のやることですので、過ちをするのは仕方がありませんが、時代状況を把握もできず過誤を繰り返すのは、オバカとしかいいようがありません。
    2009年12月12日 15:57
  • ChinchikoPapa

    ご訪問ありがとうございました。>釣られクマさん
    2009年12月12日 16:00
  • ChinchikoPapa

    わたしもGoogleのChromeは、DLしてときどき使っています。Chromeはブラウザというより、Googleクラウドのプラットフォームですね。nice!をありがとうございました。>はっこうさん
    2009年12月12日 19:18
  • ChinchikoPapa

    仕事でビール工場のロジスティクスを見学したことがありますが、お土産は缶ビールでした。仕事ですから、工場のビアホールで試飲するわけにはいきませんでした。^^; nice!をありがとうございました。>hide-mさん
    2009年12月12日 19:26
  • ChinchikoPapa

    スマートでしゃれた地下道の壁画ですね。こちらの地下鉄の壁にもイラストが描かれているのですが、「?」と首をかしげるほどの野暮ったいものを見かけます。nice!をありがとうございました。>ほりけんさん
    2009年12月12日 23:22
  • ChinchikoPapa

    こちらにもnice!をありがとうございました。>漢さん
    2009年12月13日 19:03
  • Law

    こんにちは。新しい記事にされたのですね。
    道路を作る必要性を十分に説明しなければ国の補助が受けられず、認可には至らないと聞きました。
    そこで、この道路を作る必要性がどのくらいあるか、すなわち、池袋西口から新宿へ抜ける新しい道を作る必要があるのかがポイントだと思いますが、びっくりガードから山手通りに抜ける補助172号線がもうすぐ完成しますので、立教通りに向かって右折する車の渋滞などが相当に緩和されると予想されますし、立教通りあたりから新宿のほうに向かう山手どおりはいつもそれほど混んでいないと感じられるうえ、道路が拡幅され更なる通行量を処理できるようになること、ちょうど首都高速の西池袋インターが途中にあるので、高速道路の選択肢もあることにも照らせば、池袋西口から新宿への道路は現状で十分であり、明らかに補助73号線は不要だと思います。
    だからたぶん、国の補助が認められず、認可には至らないと思っていますが、仮に進められたとしたらこの地域の致命傷となりかねないの計画ですので、かなり気にはなっています。
    金物屋跡地に早くマンションでも建つといいですね。
    もし、東京都が進めようとする動きをとるのであれば、おっしゃるようにありとあらゆる手段を用いて、全精力を注ぎ込んででも食い止める必要があると思います。
    2009年12月16日 02:56
  • ChinchikoPapa

    Lawさん、コメントをありがとうございます。
    こういう前世紀型のプロジェクトが、まったく見直しもされずに活きているところが、これまで利権がらみ、既成事実や決定事項重視の慣例が幅を利かす行政が、後手後手にまわってきた側面でしょうから、この際一掃してほしいところですね。先日もチラリとコメントに書いてしまいましたが、当の作り手であるメーカーでさえ時代錯誤だと判断して次々と撤退している、中央集中型のホスト的発想から抜けられない前世紀型のスパコン(ハードウェア)にしても(航空機時代の「戦艦大和」などと揶揄されている記事もシステムの世界では見かけますが)、あまりに時代状況に鈍感すぎる行政の、底のほうにたまった“滓”のような計画です。
    また、一度決めてしまったことは、たとえ間違っていても遂行する・・・という行政側の「官僚主義」は、下落合の“タヌキの森”に象徴される現象ですが、それさえ計画や現状に照らし合わせて、論理的な整合性や正当性が見いだせなければ、もはや正面から否定される時代になってきました。ようやく、行政側が机上で勝手に行うツジツマ合わせやご都合主義の古い「慣例」を許さない、少しは新しい時代(21世紀)を迎えつつあるように感じます。
    できれば、金物屋さんとその周辺の空き地に、オシャレなお店が早くオープンしてくれると嬉しいですね。^^ ついでに、目白崖線にグリーンベルトとして緑地化の“網がけ”をしている新宿区が、下落合側の空きスペースを緑地に変えて、東京都の計画を物理的に阻止してくれると嬉しいですね。なぜなら、補助73号線は新宿中央図書館を丸ごと潰さないと新宿まで貫通できませんから、新宿区としても「じゃあだんじゃねえやな」という感覚は、部局によってはきっとお持ちでしょうから・・・。
    2009年12月16日 12:14
  • アヨアン・イゴカー

    >既成事実を積み重ねて住民を“サンドイッチ”にしては立ち退きを迫っていく常套手段
    非常に腹立たしい、卑劣な手段だと思います。

    自然や都市が大きな価値をもつのは、100年前、200年前あるいは1000年以上前と同じ空間を維持している場合です。例えば、漱石が歩いたのと同じ場所を今でも歩けると言うことがあれば、それは素晴らしいことだと思います。
    そして、歴史や文化に配慮した自然や町こそが、心の憩いの場、都市として価値を持ち、人々を引き付けることは間違いありません。
    2009年12月18日 08:30
  • ChinchikoPapa

    アヨアン・イゴカーさん、コメントとnice!をありがとうございます。
    “サンドイッチ”にされても、住民たちが頑として買収に応じなければ、行政は手を付けられず如何ともしがたいわけですけれど、住民の分断と切り崩し工作を陰に日に行うことから、地域のコミュニティや街の風情がアッという間に分解し、二度ともとにもどらなくなるんですよね。
    そんな街に嫌気がさした住民たちは、別に工事対象の区画に住んでいなくても出て行ってしまうのは、東京オリンピック前後の下町の様子そのものです。中央区が1960~70年代にかけて、人口が文字どおり半減してしまい、行政側を唖然とさせたのはそのような事情からでした。現在でも、人口回復の事業はつづいていますけれど、一度壊したものは決して元にはもどりませんね。
    2009年12月18日 12:17
  • ChinchikoPapa

    きょう地元の飲み会があったのですが、とりあえず金物屋さんは自宅の建て替えをされるようで、直接的に道路建設につながる動きは、今のところなさそうな気配ですね。ただ、東京都は本計画を廃止にはしてませんので、引きつづき注目していく必要があると思います。
    2009年12月23日 23:50
  • Law

    こんにちは。
    金物屋さんの裏手に目白コーポラティブハウスの建物が建築中ですが、道路予定地を外して敷地西側に建築しているようですね。残念です。
    そういえば、以前、記事にもされていたピーコック駐車場向かいの大銀杏が、少し前に枝を全部落とされて、保護樹木の札も外されてしまいましたね。
    杞憂であればいいのですが、気になる動きです。
    2011年06月01日 21:45
  • ChinchikoPapa

    Lawさん、情報をありがとうございます。
    なんとなく、着々と準備を進めている気配がありますね。図書館のほうは、上物の建築は残すというような話も伝わってきていますが、新しい建物は建てないということは、いつでも解体できる・・・とも解釈できます。
    ピーコック向かいの大イチョウ、区が指定を取り消したものでしょうか。なにか聞こえてきたら、またこちらでご報告します。
    2011年06月01日 22:13
  • Ocean

    こんにちは。貴重な情報をいつもありがとうございます。豊島区目白の住人です。
    補助73号線について気になったので調べてみたのですが、池袋4丁目から板橋1丁目の区間が特定整備路線として指定され、整備に向けて動き出したようですね。都の木密地域不燃化10年プロジェクトとして選定された特定整備路線の一つのようです。2020年までに整備する予定とのことで、豊島区のHPにも、都から事業化の方針が示され次第、数年内に動き出す予定と書いてあります。
    池袋の勤労福祉会館から南の区域は、この特定整備路線には入っていませんが、休眠状態だった計画が震災を理由に動き出した事実は大きいように思います。なお、豊島新聞では池袋西口地区開発委員会等が豊島区や都に対して、73号線実現に向けた陳情をしていることや(推進派)住民の意見を、たびたび掲載(宣伝)しています。
    アンテナ高く、情報共有をしっかりしておく必要がありそうです。
    2013年02月17日 21:37
  • ChinchikoPapa

    Oceanさん、情報をお寄せくださりありがとうございます。
    戦後まもなく、「交通量の増加にともなう、渋滞緩和のための補助線道路整備」として計画された時代遅れ道路が、2050年までの自動車台数の急減予測でその理由が消滅しかかると、今度は東日本大震災の記憶も新しいこの時期に、「防災のための・・・」という後付けの理由にスリカエて推進しようとするのは、いかにも見え透いたお役所的なやり口ですね。典型的でご都合主義的な、公的土建事業の最たるものだと思います。
    この十三間道路が、上屋敷・目白・下落合・上戸塚を縦断することになったら、緑が比較的多く残されている良好な住環境や景観(公園・史蹟含む)は、それこそ根こそぎで「おしまい」だと思いますので、ぜひ止めさせたい事業のひとつですね。
    2013年02月18日 00:08

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補助73号線のために中央図書館がどく?
Excerpt: またしても、気になる動向が目立ってきている。1972年(昭和47)より落合地域にずっと建っている新宿区立中央図書館が、早稲田大学理工学部の南隣り、旧・西戸山中学校の跡地へ移転するというのだ。落合地域か..
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Excerpt: このところ、都内では道路工事があちこちで見られる。ダムや道路建設など、大規模な公共事業が徐々に減少し(それらの多くは人口増加および需要増加を、本質的な建設理由としている)、これまでなかなか進捗しなかっ..
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Tracked: 2011-02-13 00:06

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Weblog: 落合道人 Ochiai-Dojin
Tracked: 2014-02-16 00:01

新宿区が補助73号線を実質止めた?
Excerpt: 一昨年(2014年)に、十三間通りClick!(新目白通り)沿いに建っていた下落合が長い河野建設の社屋が解体Click!され、さらにその先にある西武線の南側に建っていた下落合の新宿区立中央図書館が戸山..
Weblog: 落合道人 Ochiai-Dojin
Tracked: 2016-10-03 00:01