早いもので、きょうでブログを始めてから丸1年になる。最初は身のまわり、わたしの日常生活で起きた物事と、ついでに今ではほとんど語られることもなく、忘れ去られようとしている江戸東京の下町の物語や想い出を、つれづれ書きとめて記録しておこうとスタートしたのだけれど、いつの間にかかなり違う方角へとズレてきてしまった。
そのズレた原因のひとつは、30年近く住んでいる地元・下落合とその周辺が、あまりに面白すぎるからだ。わたしは、どちらかというと自然の美しい景色や街のたたずまいよりも、人の“物語”に強く惹かれる。その土地に住み、主張し、愛し合い、怒り哀しみ、笑い憂い、そして消えていった人たちの囁きに耳を傾けることが、なぜか好きなのだろう。わたしの故郷である下町は、エト゜(岬)の東辺に“海神”が上陸した伝説(湘南に上陸した出雲のそれとおそらく同系伝説)から数えれば、1600年を超える物語の宝庫だが、下落合も数多くの物語(特に近代史)が眠る土地だ。そして、ここで暮らした人々のささやかな呟きが日々、わたしの耳に何事かを囁きかけてくる。そんな声に耳をそばだてながら、ブログを少しずつ書きためていけたらと思い始めて、あっという間に1年がすぎてしまった。
もうひとつ、とても意外だったのは、おそらく下町、特に日本橋や本所・深川界隈に愛着を持っておられる方々と、地元の下落合とその周辺に馴染みのある方々がアクセスされるだけだろうと思っていたのだが、ブログを訪れてくださった方は、コメントを拝見する限りおよそ全国各地におよんでいる。
一昨日の夜、アクセス数が17万を超えた。「目白文化村」サイトと「わたしの落合町誌」サイトとを合わせると、ゆうに26万アクセスを超えている。新宿区の人口に近いこの数字に、わたしはめまいがしそうだ。そもそも、きわめて私的でローカルな「日記」であるはずのブログが、これほど多くの方々に読んでいただけるとは、正直、考えてもみなかったことだ。
・・・ということで、この1年間、わたしのブログを訪れてくださったみなさまに、心よりお礼申し上げます。もうそろそろ飽きがきそうで不安ですが、これからもよろしくお願い申し上げるしだいです。
■Chinchiko Papalogログデータ(2004年11月24日~2005年11月23日現在)
●11月23日現在の総ビジター数…170,859
●人気が高かった記事ベスト1
下落合、タヌキの通い路。…2,288人
あいかわらず、下落合ダヌキは大きな注目を集めているようです。屋敷森界隈にいる2家族の都合4匹の子ダヌキは、無事成長して親離れをしたのでしょうか。
●コメントがたくさんの記事ベスト1
下落合が気になったわけ。…33コメント(2,224人)
下落合を舞台にしたドラマ『さよなら・今日は』は、実に多くの方々へ強い印象を残しているようです。記事の掲載から1年がすぎても、コメントが寄せられつづけています。
●トラックバックが多かった記事ベスト1
負け犬のシネマレビュー(1) 『ウィスキー』 …14TB(582人)
これはわたしの記事ではなく、間借り人の「負け犬」さんClick!のレコード。プロの書く文章は、読み手を瞬時に惹きつける魅力が圧倒的で、わたしもせっせと見習わなければ・・・。ちなみにトラックバックのベスト2も、負け犬のシネマレビュー(3)『ヴェラ・ドレイク』(11TB)でした。
■写真:下落合らしい風景のひとコマ。
この記事へのコメント
tadashi
まだ語り足りないですが、このへんに。
時間がゆるせばChinchikoPapaにガイドしていただき、文化村探訪をしていただければ、、、
ChinchikoPapa
わたしも実は、文化村をもう一度まわりたくなってしまいました。この1年で、ずいぶん変わったエリアがあるのではないかと思います。ガイドは、わたしなどよりも実際に古くから文化村にお住まいの方のほうが、各邸宅の中へ入られたこともあり、内部デザインなどもご存じで適任じゃないかと思います。
エム
おめでとうございます。
「継続は力なり」だそうですから、これからもおもしろい記事を期待します。
文化村内もこの一年でさらに建て売り住宅が増えています。
一度壊してしまうとそこに以前建っていた建物がどんなだったか
すぐに忘れてしまいますね。
石橋湛山邸のような建物であれば永く記憶に残るのでしょうが・・・。
ChinchikoPapa
エリアの中核となるような、シンボル的建築や森が残っていると、どこかその町の成り立ちを感じさせる風情(アイデンティティ)が、街並みにも住民の心にも残るような気がしますね。第二文化村は、石橋邸や宮本邸などが戦後も残っていて幸運でしたけれど、第一文化村は北西辺を除いてほとんど焼けていますので、よけいに「文化村らしさ」を残すのが難しいのかもしれません。
かい
友人が住んでいた下落合に遊びに来るようになって25年、
ひょんなことから自分も住むようになって9年になります。
このブログによって地元の自然や歴史を教えて頂き、よりいっそう愛着が湧いてきます。
これからも楽しみに読ませて頂きます。
ChinchikoPapa
これは別に、下落合に限らず、東京の下町でもどこの地域でも同じだと思います。町の暮らし方や愛し方が、それによって大きく変わる可能性があり、見えなかった街の姿や将来像がクッキリ見え始めることもあるんじゃないかと思っています。
some ori
Papaさんのおかげで、下落合はじめあの界隈がこんなにも豊かな土地であったのかと知って、びっくり。どの土地でもじっくり向き合えば、面白さがにじみ出てくるものなのかもしれませんね。私もこの場所の遺伝子、獲得しなっきゃなあ。とは言っても、下落合はダントツ!
ChinchikoPapa
ほんとは、もっとオバカな記事をたくさん書く予定だったのですが、いつの間にかいろいろなテーマに深くのめりこんでしまいました。たまには、オマジメ記事をやめて、オバカで不マジメ記事を書かないとストレスがたまります。
・・・ということで、明日あたり、さっそく本来の“地”のわたしにもどりたいと思います。σ(^^;オバカ大好き
小道
下落合は私にも懐かしい場所ですが、まだ懐かしがる前に、どんどん歩き回って動き回って、それからにしときます。
中身が濃すぎて、なかなか追いつきませんが、毎日楽しみにしています。
ChinchikoPapa
すみません、中身が濃いのではなく、文章がやたら冗長なだけですので、適当に流し読みしてください。(汗) わたしにとっての懐かしい地域は、下町もそうですが、子供のころ(15歳まで)すごした神奈川県の海辺があります。先日、数年ぶりに歩いたのですが、小道さんのお好きそうな建築がいっぱいありました。今度、ご報告しますね。(^^
かあちゃん
いのうえ
ChinchikoPapa
さっそく、オバカ記事をアップしてしまいました。ほんとは、もっとハメを外したいのですが、ギャップが埋められなくなると困りますので・・・。(笑) 天気予報を見てますと、そちらは連日、最低気温が氷点下ですね。風邪を召しませんよう。
ChinchikoPapa
アッという間だったような気もしますが、目白文化村を取材していたのが数年前のような気もします。ネット技術の世界だけでなく、コンテンツの作り手の感覚も、どこか“ドッグイヤー”化しているのでしょうか。
「ちょっと色気のあるお話」というのは、とっても難しいご注文ですねえ。あまり色気のあるほうではありませんから、怪談のほうがまだ得意かもしれません。宮沢さんに、愛・地球博でハダカの人魚フィギュアをいただいて、すごく喜んでいる程度のものですから・・・。(><;☆\じゅうぶん変態じゃ!
miharu
Papa さんのおかげで目白、下落合の楽しみがどんどん広がりました。これからも面白いこと見つけてUp してください。私も何か見つかりましたら、またお知らせします。(遅くなってしまったのは、私のシャツ展が24日から始まったため、もうドタバタしていました。無事始まりましたのでご覧いただければ嬉しいです。3日までですが)
ChinchikoPapa
下落合のギャラリーには、またお邪魔させていただきます。<(_ _)>
fuRu
1周年、おめでとうございます。
これからも、どんどんディープなネタを期待しております。
miharuさんとも、偶然が重なってお知り合いになれて
下落合トラストの名簿にも協力させていただきました。
こういう人の輪が広がってゆくのは
誰でも参加しやすいというブログの力なんでしょうね。
と、よく考えると、まだお会いしていないということに気がつきました。
ぜひ、どこかで。あるいは、僕の事務所の近くに来られたら寄ってみてください。
ではでは。
ChinchikoPapa
目白・下落合界隈のことを書くようになってから、実にたくさんの方々から声をかけていただき、また知り合うことができました。確かに、「ブログの力」は、わたしの予想をはるかに超えていたようです。
fuRuさんとは、ブログを通じて親しく交流させていただいているのに、知らずにお会いしていた「杏奴」での“集会”以来、なかなかご一緒できませんね。今度ぜひ、お会いしましょう!
おのふみと
そうでした、「ブログの力」と同じころでしたねー。内容がどんどん充実されて凄いです。ウチは1年前と同じ内容同じペース(笑)。
アクセス解析も興味深く拝見。やはりこの1年での下落合最大の話題「たぬき」でしたか。
ウチのは最近解析できるようにしたばかりなので、ここ1か月足らずのデータですが、1番人気が「自由学園」でした。キーワード検索で来た方が多かったのも自由学園明日館で、案外「地域密着」の記事にニーズがあるようですねー。
今後もご発展を。
ChinchikoPapa
わたしもアクセス結果を見ながら、「地域密着」記事は、やっぱりそこの空気感まで濃く伝えられるから、よく読んでいただけるんじゃないかな・・・と考えてました。どこか、言葉の端々のリアリティが違うのでしょうか。
hedawhig
パパログさんを知ってから~文化の伝承なるものに思いをはせると
とんでもなく、ストレスに陥ったり、食も文化も~~辛い毎日ですが、
ひと時、ばあやの江戸弁は小気味よく、癒されてます。
画家の筆跡~も興味深いテーマです♪ これからも愉しませてください。
ChinchikoPapa
伝承ばかりでなく、「あれからの文化村」を取材しますと、またぞろミニ開発の連続でストレスがたまりそうですが、また違った角度から見つめなおしてみたいと思っています。
佐伯祐三の絵ですが、いまだ不明な5作品(3風景)を、相変わらず地図と写真をトレースしながら探しています。あきらめの悪いわたしです。(^^;