文化村入口あたり。

 

 1922年(大正11)ごろに完成した、広大な箱根土地本社の跡地は、いまは3分の2ほどが山手通りの下になっている。泉や池が埋め立てられ、盛り土がされてその面影はいまやまったくない。
 現在は、ディスカウントスーパー(カラー写真)の建つあたりが、大きな池へと下る斜面があったところ。モノクロ写真に見える斜面が、あちこちに湧水のあった本社の敷地南辺の斜面。手前には、池の南端がほんの少し写っている。奥の建物は、箱根土地の社屋ではなく、第一文化村に建てられたクラブハウスだ。
 箱根土地本社は、赤いレンガ造りで2~3階建てのしゃれた建物だった。改正道路(山手通り)の建設計画とともに、すぐに壊されてしまった本社屋だが、1925年(大正14)に描かれた、松下春雄の『下落合文化村入口』と題された油絵に、建物の一部がかいま見られる。つづきは・・・

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この記事へのコメント

  • iGa

    クラブハウスの建物はF.L.ライトの影響を受けているように見えますが、F.L.ライトの元で自由学園を担当した建築家の遠藤新氏が関わっているのでしょうか。
    2005年01月02日 23:04
  • ChinchikoPapa

    目白文化村に建築された住宅のうち、3分の2が純西洋館風の外装だったようですが、そのうちフランク・ロイド・ライト風の建築は、けっこう多かったようです。のちにご紹介する第一文化村のK邸も、ライト設計そのもののような姿をしていました。これは、箱根土地の子会社である建設会社に、ライト風の設計が得意な建築家がいたものとみえます。(氏名はわかりません) おそらく、クラブハウスも同じ建設会社の設計かと思われます。中は大きな吹き抜けのホールがあり、各部屋ではビリヤードや囲碁、三味線などの教室、映画会、音楽会、講演会などが開催され、ちようどいまのカルチャーセンター的な役割をはたしていたようなのです。
    2005年01月03日 00:19
  • かあちゃん

    こんにちは(^^)札幌の旧小熊邸ですが、ライト風の設計ということで前にいのうえさんがコメントして下さったことを思い出して、トラックバックさせて頂きました。
    2005年01月03日 00:51
  • ChinchikoPapa

    トラックバックをありがとうございます。(^^ 目白文化村の住宅建築にかかわった建設会社あるいは建築家には、以下の企業あるいは人たちがいました。
    ●箱根土地(株)の関連建設会社
     社名はわかりませんが、おそらくいちばん数多くの建設を手がけているのではないかと思います。住民は、文化村の土地を購入するとともに、建物も箱根土地に任せよう・・・ということで建築を依頼したため、「箱根土地に建ててもらった」という意識があるようです。でも、実際には関連建設会社の作品です。
    ●あめりか屋
     明治以来、東京府内の西洋館建築で有名な、当時の老舗的な建設会社です。名前がしめす通り、米国風の建築が得意だったようです。ただし、和室をともなう一般住宅の建設には不慣れだったのではないかと思います。
    ●フラー建築(株)
     米国はロサンゼルス(ビバリーヒルズ)の住宅造りを手がけた会社らしく、日本にも合弁会社を設立(1920年)しています。支配人のターナーが目白文化村を実際に訪れ、「おお、ロサンゼルスの縮図よ!」と言った話は有名。和洋折衷住宅の先駆けのような建設会社です。
    ●宮大工
     第一文化村の知り合いの家のひとつも、宮大工に建ててもらいました。それまでの日本家屋の大工では、西洋館を建てるのは不可能なので、多彩な建築技術に通じた宮大工に設計図をわたして、苦心のすえに建ててもらった家が何棟かあります。
    ●中村健二(建築家)+南建設
    ●河野伝(建築家)
     こうしてみますと、外観は西洋風に、中身は和室と洋室の和洋折衷に・・・という、それまでの一般住宅ではありえなかった日本初の先駆的な家造りに、住民のみなさんが試行錯誤していた様子がなんとなくわかります。明治期まで華族やおカネ持ち、あるいは企業が建てていた純粋な西洋館とは本質的に異なり、外観は西洋風でも中身は応接室を除いてほとんどが畳の部屋という屋敷もありました。昭和初期に大流行する、いわゆる和洋折衷の「文化住宅」の嚆矢となった実験的な建築が、大正期の目白文化村で試みられていたようです。
    2005年01月03日 12:33
  • すずめ

    かあちゃんさん、「小熊邸」にコメントしたのは いのうえさんじゃなくて ぼくですよお! iGaさん はじめまして ・・・ ん? どこかでおあいしたような・・・
    2005年01月03日 13:43
  • iGa

    かあちゃんさん、すずめさん はじめまして、ん、ん?どこかでおあいしてますか?
    トラックバックから札幌の旧小熊邸 拝見しました。そちらもコメント盛り上がっていますね。
    Chinchikoさん、詳細なご回答有り難うございます。
    当時はライト風の設計は時代の最先端だったのでしょうね。ライトのプレーリーハウスのドローイング集等を入手すれば、器用な日本人のこと、ライト風のデザインはそれなりにできたのかも知れませんね。そういえば前の首相官邸もライト風、銀座のサッポロビールのビアホールもライト風、最近のハウスメーカーもネタが尽きると、ライト風のデザインが復活してきます。
    2005年01月03日 15:25
  • ChinchikoPapa

    iGaさん、こんにちは。現在のハウスメーカーでも、ネタがなくなるとライト風にはしる・・・というのは、とても面白いですね。今度、注意して現代住宅のデザインを見てみます。(^^
    2005年01月03日 17:04
  • かあちゃん

    iGaさん、初めまして。喫茶店巡りから始めた札幌散歩ですが、すずめさんのコメントをきっかけに、建物の歴史に興味を持つようになりました。ライト風建築はシンプルで、とても美しいデザインだと思います。札幌には大正、昭和初期に建てられた味のある建築物が結構残っているようなので、少しずつ写真に収めておきたいと考えています。いつのまにか建替えられて味気の無い箱になってしまう前に・・

    >すずめさん、新年早々ごめんなさーい。近頃勘違い、物忘れ&思い込みがはげしくて<若いのに(((^_^;)
    >Papaさん、杏奴ママさんの風邪の具合はいかがですか?私は初売りに出かけて元気が出たのでもうすぐ治りそうです(^^)
    2005年01月03日 21:14
  • ChinchikoPapa

    杏奴のママさんは、少し回復されたようです。ただ、東京は明日からまた厳寒という予報が出ていますので、かなり心配なのですが・・・。こちらの「厳寒」が、おそらく札幌ではフツーだと思いますので、かあちゃんさんも引きつづきお気をつけくださいね。
    2005年01月04日 22:33
  • ChinchikoPapa

    こちらにも、nice!をありがとうございました。>さらまわしさん
    2014年04月18日 17:42

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